アマチュア無線とトランシーバーの違いとは?
トランシーバーを初めて購入しようとした時や、レンタルを検討する際、アマチュア無線という言葉を耳にします。
トランシーバーとアマチュア無線、どちらも電波を送受信するものであることは何となく分かります。
しかし、トランシーバーとアマチュア無線は何が違うのでしょうか。実はトランシーバーとアマチュア無線では、資格の必要性や用途に大きな違いがあります。今回はトランシーバーとアマチュア無線の違いをそれぞれの特徴を踏まえながら、解説します。
目次
アマチュア無線とは?
アマチュア無線とは、どのようなものなのでしょうか。
アマチュアと聞くと、素人というイメージを持つ方が多いですが、アマチュア無線の場合は、意味が異なります。
アマチュアとは“趣味用の意味”で知識や技術は無関係
アマチュア無線のアマチュアとは、「金銭利益のためではなく、個人的な興味によって、無線技術を発展・追及する」という意味が込められています。つまり、業務目的ではなく、個人的な趣味で使われることを示しています。個人的な趣味だから、知識や技術も素人レベルかと言うと決してそうではありません。
アマチュア無線愛好家には、プロ顔負けの知識や技術を持った方もいます。
資格が必要なアマチュア無線
アマチュア無線は法律上でも規定されており、アマチュア無線を業務で使用することは禁止されています。アマチュア無線は個人的な趣味で利用するものですが、好き勝手に使用していいわけではありません。アマチュア無線を行うには「アマチュア無線技士」という国家資格が必要で、無線局の開設には、業務用と同じで無線局免許状の申請が必要になります。
トランシーバーとは?
トランシーバーとはいったいどのようなものなのでしょうか。
トランシーバーを理解するためには、業務用無線について知っておく必要があります。
業務用無線とは?
アマチュア無線が個人的な趣味で利用されるのに対し、業務用無線は言葉どおり業務に使用される無線を示します。
タクシーに乗った際、無線でやり取りをしているのを見たことがある方も多いはず。それがまさに業務用無線です。
他には、トラックの運転手や、警察などでも使われています。
会社で業務用無線を使用したい場合、無線従事者免許という免許を持っている人を配置する必要があります。ただし、業務用無線を使用する人全てが免許を持っている必要はありません。例えば、タクシーの場合、指令局にいる人のみが持っていれば、ドライバーが無線従事者免許を持っている必要はありません。
無線局の開設の際、無線局免許状の申請が必要になるのは、アマチュア無線と同様です。
トランシーバーとは高出力の業務用無線機
アマチュア無線と、業務用無線。
趣味用と業務用ということが分かりましたが、トランシーバーとは何なのでしょうか。
コンサートなどのイベントに行くと、スタッフがトランシーバーをもって連絡を取り合っているのを目にします。それらの多くがトランシーバーです。
トランシーバーは簡易業務用無線機とも呼ばれます。簡易業務用無線機は業務用無線の中でも出力が5W以下のものを指します。無線従事者免許がなくても使用することができます。
アマチュア無線とトランシーバーの違い
アマチュア無線とトランシーバーの特徴をそれぞれ解説しましたが、具体的な違いは何なのでしょうか。
大きく分けて3つの違いがあります。
1番の違いは用途
1つ目の違いは用途です。
アマチュア無線は個人的な趣味であるのに対し、トランシーバーは業務用。
アマチュア無線を業務で使いたいと思っても、法律で禁止されているのでできません。
資格の必要性
2つ目は資格です。
アマチュア無線を使うためには必ずアマチュア無線技士を持っていなくてはなりません。
トランシーバーは特別な資格は必要ありません。因みにアマチュア無線技士には4級~1級が存在します。
各級の違いは操作範囲。級が上がるごとに、高出力の操作を行うことができるようになります。
通信距離も大きく違う
3つめは通信距離です。
アマチュア無線はその名前から、長い距離の通信が苦手な印象を受けますが、実はとても長い距離で通信が可能です。
出力が高いものになると数十kmから数百kmの通信を行える場合もあります。対して、トランシーバーは出力が高いもので、5km~10km。それ以上の通信距離が必要な場合は、IP無線という携帯電話の通信網を利用した方式の製品を使用します。
アマチュア無線とトランシーバーの特徴を比較
アマチュア無線とトランシーバーの特徴を比較すると次のようになります。
アマチュア無線 | トランシーバー | |
用途 | 趣味 | 業務用 |
資格 | 必要 | 不要 |
通信距離 | 数百kmも可能 | 5km~10km程度 |
まとめ
アマチュア無線とトランシーバーの一番の違いは用途。アマチュア無線は趣味用、トランシーバーは業務用です。
アマチュア無線はより上位のアマチュア無線技士の資格があれば、かなり広範囲の無線操作を行うことができます。
トランシーバーは業務用のため、限られた範囲での無線操作になっていますが、特別な資格は不要です。
手軽に無線通信を行うのであれば、トランシーバーがおすすめです。
無線機を選ぶ際は、使用用途を整理し、用途に合った製品を選ぶようにしましょう。
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